灯油は適切に処分しないと火災や事故につながることがあります。また、灯油は放置していると劣化するため、次のシーズンまで保管できません。
シーズン中に使い切れればよいですが、残った場合は処分が必要です。灯油は残った量によって適切な処分方法が分かれます。
この記事では、灯油の量が大量の場合と少量の場合に分けて処分方法を紹介します。処分の際にやってはいけないことなども併せて解説しますので、最後までご覧ください。
灯油の取り扱いについて
灯油は石油の一種でケロシンという成分でできた油であり、主に暖房器具などの燃料に使用される製品です。家庭用のストーブやファンヒーターなどで幅広く利用されています。
最近は暖房器具の多様化や進化により灯油を利用するという方も減少していますが、今もなお私たちの生活には欠かせないものとして存在しています。
灯油の取り扱いと注意点
灯油は、引火性があるため取り扱いする際には注意が必要です。灯油は発火点が高いため、自然発火する恐れはなく保管をしておくこと自体に問題はありません。しかし、引火点が低いため火気が近くにある場所に置いておくことは非常に危険です。
また、灯油の匂いは炭化水素と硫黄系臭気成分が主な成分です。大量に吸い込んでしまうと炭化水素中毒を引き起こし、心身に影響を与えかねません。人によっては匂いだけで気分が悪くなってしまうこともあります。
このように、灯油は一般的に流通している製品ではあるものの、取り扱いに注意しなければならない危険物であるため、適切な保管や処分が必要であることを理解しておきましょう。
古い灯油を使用するとどうなる?
劣化してしまった灯油を機器に使用すると、故障の原因になる恐れがあります。
ストーブに入れた際にうまく着火しなかったり、火力の調整ができなくなってしまったりなど、火を扱う関係上非常に危険です。使用を続けているとストーブが故障してしまい買い替えなければいけなくなってしまうこともあります。
また、刺激臭がする煙が発生することもあり人体にも悪影響を及ぼします。室内の空気を温める目的で使用されることが多いため、強いにおいで気分が悪くなる場合もあります。
上記の理由から、劣化した灯油を使うことは推奨されません。安全のためにも、新しい灯油を使用するようにしましょう。
灯油が大量にある場合の処分方法

灯油が大量に残った場合の処分方法は、以下の3つです。
- ガソリンスタンドに持っていく
- 灯油を購入した販売店で引き取ってもらう
- 知り合いに渡して使ってもらう
それぞれメリット・デメリットがあるので、状況に合わせて適切な方法を選びましょう。
※すぐ片付け隊では、灯油は危険物に該当するため、処分することができません。
方法1.ガソリンスタンドに持っていく
ガソリンスタンドでは、灯油の回収を引き受けているところがあります。すべての店舗で対応しているわけではないため、事前の確認が必要です。セルフのガソリンスタンドでは対応していないことが多いので、スタッフ常駐の店舗に持っていきましょう。
ガソリンスタンドは、灯油やガソリンなど危険物を管理している場所でもあります。そのため安心して処分が可能です。費用は基本的に無料ですが、店舗によっては有料の場合もあります。灯油がまだ新しい場合は買い取ってくれることもあります。
ガソリンスタンドに持っていく | 無料~500円ほど |
方法2.灯油を購入した販売店で引き取ってもらう
灯油を購入した店舗では、古い灯油の引き取りサービスを実施しています。ホームセンターなどで購入していれば、無料で回収してくれます。
処分を依頼する際は、灯油を購入したときのレシートが必要です。店舗で購入したことがわかるものがないと引き取り不可になる可能性があるため要注意です。灯油の購入時に、レシートをとっておきましょう。
ただ購入店舗ではなくても、灯油を販売している店舗で回収していることもあります。自宅近くに灯油の販売店がないか確認してみてください。
灯油を購入した販売店で引き取ってもらう | 無料 |
方法3.知り合いに渡して使ってもらう
劣化していない灯油が残った場合、近隣や知人に譲って使ってもらうのも1つの方法です。人に使ってもらえれば、捨てずにすむので無駄になりません。
灯油は価格が高いので、喜んでもらってくれる方は多いと思います。自宅近くに「灯油がほしい」という人がいないか確認してみてください。
人に譲る時は、安全のために灯油をプラスチックのポリタンクに入れて、しっかりと中身の量を伝えましょう。
知り合いに渡して使ってもらう | 無料 |
方法4.不用品回収業者へ依頼する
灯油を処分する方法として、不用品回収業者に灯油の処分を依頼する方法があります。不用品回収業者は家庭で出た不要なものを回収する専門の業者であり、灯油も回収可能です。
運搬など回収に関わる作業はすべて業者スタッフが対応してくれるので、「灯油が重くて運べない」「運搬時に灯油をこぼさないようにしなきゃ…」といった心配は不要です。
また、回収日時に融通を利かせてくれるというメリットもあるため、おすすめの方法といえます。
参考:https://www.k-clean.jp/items/touyu
関連リンク:https://sugukataduketai.com/gomidame/huyohin-merit
灯油が少量だった場合の処分方法

残った灯油の量が残りわずかの場合は、以下の方法で処分するのがおすすめです。
- ファンヒーターやストーブで使い切る
- 新聞紙や布に染み込ませて可燃ごみに出す
上記の方法は、費用をかけず簡単に処分ができます。
方法1.ファンヒーターやストーブで使い切る
ファンヒーターやストーブを使って、灯油をすべて使い切る方法です。
- 部屋干しをしている部屋でファンヒーターを使って洋服を乾かす
- 空焚きをして使い切る
1の方法なら、洋服を乾かすことができて灯油も使い切れるので一石二鳥。2の方法もストーブの空焚きを繰り返し行うことで自然と消火するため、とても簡単です。
注意点は、劣化している灯油で空焚きするとストーブが故障する可能性があることです。また、空焚きをするとタールの匂いが強くなるため、しっかり換気することが重要です。
ファンヒーターやストーブで使い切る | 無料 |
方法2.新聞紙や布に染み込ませて可燃ごみに出す
残った灯油の量が50~100㏄ほどの場合は、布や新聞紙に染み込ませてから可燃ごみとして捨てましょう。ただ、可燃ごみに出すことを禁止している自治体もあるため、必ず自治体ホームページや電話で確認してください。自治体のホームページに処分可能な灯油の量が記載されている場合もあります。
なお、少量の灯油を可燃ごみとして処分する場合は、発火による火災を防ぐため厳重に布や新聞紙でくるんで袋に入れてから破棄しましょう。
新聞紙や布に染み込ませて可燃ごみに出す | 無料 |
灯油を処分する際にやってはいけないこと

灯油を処分する際、絶対にやってはいけないことがあります。
- 凝固剤で固めて捨てる
- 下水道や川に流す
- 土に埋める
上記3点は火災や環境汚染の原因となるので、どんなことがあってもやらないでください。
凝固剤で固めて捨てる
料理用の油を固める凝固剤を、灯油の処分で使用するのは間違った方法です。
料理の油に使う凝固剤といえば、熱い状態の油内に入れます。灯油は燃焼性が高く、温めると大火事になる危険があります。間違っても灯油に凝固剤を入れないでください。
下水道や川に流す
バレないからといって、灯油を下水に流してはいけません。なぜなら、下水管の中で灯油が気化すると引火して爆発する恐れがあるからです。爆発で水道管を壊すと、高額な損害賠償を求められます。
たとえ灯油が下水道の処理場まで流れたとしても、浄化せず処理場の機能が止まってしまいます。加えて、灯油を川に流すことは環境汚染のほか、生物に悪影響を与える恐れがあるので、絶対に流さないでください。
土に埋める
- 少量の灯油なら土に埋めてもいい
- 灯油は微生物が分解してくれる
上記のような声をよく聞きますが、2つとも間違った情報です。土の中にいる微生物は灯油を分解できません。むしろ生態系や土壌が汚染され、植物が生えてこなくなることがあります。
灯油は自然に浄化することはありません。崩れた土のバランスを元に戻すには、土の栄養を調査し専用の微生物剤を投与する必要があります。土を正常に戻すには、多大なる時間と労力を要するので、灯油を土に埋めてはいけません。
燃やして処分する
当たり前の話ですが、灯油に火をつけて燃やすことは大火事につながります。灯油の引火点は37~65℃で、非常に燃えやすいという特徴があります。
実際に灯油を処分しようと思って火をつけ、火事になったケースも報告されています。灯油に火が付くと勢いよく燃え上がるため、直接はもちろん、灯油の近くで火を扱うのはやめましょう。
処分の際に灯油をこぼしたときの対処法

灯油を処分する際、うっかりこぼしてしまうこともあるかと思います。灯油は、こぼした場所によって対処法が異なります。以下に場所ごとに適切な処分方法をまとめましたので、ご覧ください。
絨毯の場合 | こぼした部分にキッチンペーパーや布を被せて上から叩く 色落ちを防ぐため、こすらないように注意する 油を吸わせたあとは風通しのよい場所に置くことで匂いは消える |
玄関の場合 | 中性洗剤で洗い流す 除光液で拭き取る 換気しておけば自然と匂いは消える |
フローリングの場合 | 絨毯の場合と同じくキッチンペーパーで灯油を吸わせる 油を吸わせたあとは、ワックスを塗りなおしておく |
灯油を処分する際の料金相場

灯油を処分する際の料金相場を、以下の表にまとめました。基本的に無料ですが、業者や店舗に依頼すると費用がかかります。業者に依頼する際の参考にしてみてください。
ガソリンスタンドに持っていく | 無料~500円ほど |
灯油を購入した販売店で引き取ってもらう | 無料 |
知り合いに渡して使ってもらう | 無料 |
ファンヒーターやストーブで使い切る | 無料 |
新聞紙や布に染み込ませて可燃ごみに出す | 無料 |
灯油を入れていたポリタンクの寿命と処分方法
灯油用のポリタンクの寿命は、製造されてから5年とされています。本体に印字されているため、製造年月日を確認してみましょう。
また、灯油の入っていたポリタンクは自治体によって処分方法が異なります。どちらにしても中身がある状態だと処分が必要となりますので、使い切ってしまうかガソリンスタンドなどに持ち込みをしましょう。持ち込みした際にポリタンクごと処分してくれる場合もあるため、事前に確認をしておくとよいでしょう。
灯油と併せて処分しておきたい不用品と処分方法
灯油を処分する際、灯油と併せて処分したい不用品がある場合、灯油と同様に適切な処分方法で処分をする必要があります。その処分方法をお伝えするので、灯油のほかにも併せて処分したいものがある人は是非参考にしてみてください。
・ポリタンク
ポリタンクは自治体によって処分方法が異なるため、使い切ってしまうかガソリンスタンドなどに持ち込みをしましょう。
・灯油ポンプ
灯油ポンプは燃えるごみ、または不燃ごみとして処分することができます。金属製のポンプも不燃ごみとして分類されることが一般的です。
不用品・粗大ごみ処分なら「すぐ片付け隊」にお任せ!
灯油を処分する際、不用品回収業者へ依頼するという方法もあります。すぐ片付け隊では灯油、ポリタンク、灯油ポンプその他の不用品をまとめて回収することができ、灯油タンクやストーブに残ったままでも対応させていただきます。
灯油は引火性の高い液体であり、処分をする際に不安を感じる人も少なくありません。無理をせずプロに依頼をして、手間やストレスを少しでも減らし、安心安全に灯油を処分していただくことがベストな方法です。
まとめ
灯油はストーブやボイラーなどの燃料として、寒い季節には欠かせない存在です。しかし、誤った使用や処分の仕方をすると大きな危険を伴います。中には、長期間保管していたために古くなった灯油や、いつ購入したのか分からなくなってしまった灯油が手元にあるという方もいるでしょう。
「まだ使えるかも」と思うかもしれませんが、劣化した灯油を保管し続けることにはリスクがあり、メリットはありません。残ってしまった灯油は無理に使わず、適切な方法で処分することが重要です。